ご挨拶

一般財団法人昭和維新顕彰財団

代表理事 坪内隆彦

 明治維新によって鎌倉幕府以来の武家政治に終止符が打たれ、わが国は本来の姿を取り戻したかに見えました。しかし維新後、薩長藩閥によって政治は壟断されていきました。昭和維新の理論的指導者の一人、権藤成卿は「蘇我氏にあれ、藤原氏にあれ、源氏にあれ、足利氏にあれ、徳川氏にあれ、将た彼の薩長藩閥であれ、皆な天下を以て己れの国家としたものではあるまいか」と批判しました。維新の精神は貫徹されなかったのです。また、厳しい国際情勢の中で、明治政府は独立を維持するために文明開化、富国強兵を推進しましたが、それによって国風が損なわれる結果を招いたことも否定できません。
だからこそ、「明治維新の告り直し」「第二の維新」が求められるようになったのです。すでに大正時代には貧富の格差が拡大していましたが、昭和の初期には世界大恐慌も重なり、社会の閉塞感が極まり、昭和維新運動が台頭しました。五・一五事件で蹶起した三上卓先生が作った「青年日本の歌」(昭和維新の歌)には、困窮する民の生活を顧みない特権階級に対する義憤が表現されています。
ところが、戦後の歴史観において、五・一五事件をはじめとする昭和維新運動の正しい姿が描かれていません。昭和維新運動に挺身した先人たちの精神と行動の軌跡を検証するためには、昭和維新運動の真実を伝える史料の収集、分析を進めなければなりません。そうした思いから、私たちは昭和維新顕彰財団を設立いたしました。令和五年には有志の方々の多くの支援により、「青年日本の歌」史料館を岐阜護国神社内に設置することができました。
どうか、史料館運営をはじめ私たち財団の活動にご理解をいただき、ご協力を賜れれば幸いです。

「青年日本の歌」史料館